プチ東洋医学講座 ~デトックスの鍼(気滞編):中編~金子ブログ
邪気の中でも、いろいろな病気のベースになり得る気滞ですが、そもそもなぜ気の流れが滞るのかということになります。
気の流れが滞る原因を挙げてみると、物理的な要因と精神的な要因の二つに大別することができます。
物理的な要因としては、ずっと座り続けていたり立ちっぱなしだったりして、体の一部分に物理的負荷をかけ続ける状態が続いたり、休息過多で体を動かさな過ぎることによって気を流す機能を怠けさせたりすると気の流れに滞りが生じてきます。それから、外気の冷えのような物理的刺激によって引き起こされる緊張等でも気の流れが滞ってくることが多くなります。
また、日々の忙しさやわずらわしさからくる精神的な緊張が強くて、なかなか精神がリラックスする間がなかったり、腹立たしいことが多くて人や環境に対する不平不満を持ちつづけていたり、怒りや悲しみ等の感情の乱れが鬱積していたり、取り越し苦労、持ち越し苦労、悩み事や心配事が多くてなかなか自分の中で解決がつかなかったり等々、そのようなあまりのびのびしない精神状態でも気の流れは滞ってきたりするのです。
このように、気の流れが滞る原因には、物理的な要因もあれば、精神的な要因もあるのですね。
そして気滞が生じると、脈や舌、ツボに病的な反応が出てはきますが、これまで解説してきた他の邪気と比べて、表面に現れる現象、症状としては、みんなに共通する典型的なこれといった特徴があまりありません。
気の流れが滞る事で、肩の痛みや腰の痛み等の整形外科的な症状もでれば、食欲不振や腹痛、便秘等の消化器系の症状もでるし、循環器、呼吸器に気滞が生じれば、循環器や呼吸器系統になんらかの症状がでてきたりするのです。つまり、どこに停滞を生じてどの生理機能を失調させるかによって、人それぞれ症状に違いがあるのです。
また、気の流れが病むと、それにしたがって血や水分等の流れも病んでくることになり、これまで解説した熱邪、湿痰、瘀血等の邪気を作り出す原因になります。それゆえ、気滞はいかようにも病気を形成していき、いろいろな病気のベースになる邪気でもあるために、病の始まる大元の原因とされるわけですね。
つづく