プチ東洋医学講座 「喘息と小青竜湯」~症状の直接原因と病気の根本原因~:後編 上の巻金子ブログ
前回は、かぜひきの治療で東洋医学における「標治」と「本治」を解説しましたが、これを喘息の治療に当てはめて考えてみると、余分な水気が喘息の発作をおこしている時に、肺の水気を除く処置が「標治」になり、平常時に余分な水気をためてしまう水分代謝の異常を改善していくことが「本治」になるわけです。
そして、小青竜湯は、呼吸器系の水気を除く「標治」の薬であるので、発作時には有効に働きますが、平常時に小青竜湯を使っても、根本の水分代謝の異常を改善することにはならないので、治療としては的が外れてしまうのです。
小青竜湯の「標治」によって発作を鎮めたら、今度は身体の水分代謝の機能を高めて、体内の余分な水気、湿気を排徐するようにしていかなければならないのですね。
もちろんこれは鍼灸の治療でも同じで、このような発作時は肺の水気を除く処置をしますが、平常時は特に消化器系の働きを高め、余分な水気の排出を促進するような処置を中心にしていきます。
このように、東洋医学では病気を「標」と「本」という観点からみていくのですが、東洋医学的にいうと、喘息はさらに「虚喘(きょぜん)」と「実喘(じつぜん)」の二つに原因が大きく分かれるのです。
「虚喘」というのは、生命エネルギーである「気」の不足によって、内臓機能の働きが低下しておこる喘息です。「実喘」というのは、体内に「邪気」と呼ばれる様々な毒素が生成され、それが内臓の働きを阻害しておこる喘息です。
実は、これまで例に挙げてきた余分な水気が呼吸器系に悪影響を与えておこる喘息は「実喘」になるのですね。
つづく