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なるほど!THE.・プチ東洋医学講座 ~ アトピーって温病?金子ブログ

東洋医学には温病(うんびょう)という病名があります。

「温」と書いて「うん」と読むのですが、これは東洋医学でいう邪気(毒素)の中でも、特に熱邪という余分な熱を受けることによっておこる病気のことです。

例えば、病院でかぜと診断されるものの中にも、東洋医学的には、冷えが原因となっておこるものと熱邪が原因となっておこるものがあります。同じかぜひきであっても、寒性のものと熱性のものと、大きくは二通りに分かれるのですね。

このうち、熱邪が中心となっておこる熱性の風邪ひきは温病といわれ、寒性の風邪ひきとは診断と治療のし方が違うのです。

実は東洋医学には、このような温病というものを専門に体系化した「温病学」という学問が個別にあるのですね。

そして、温病学の非常に優れている点は、先ほどの熱性の風邪ひきだけではなくて、熱邪すなわち余分な熱エネルギーが原因となっておこっている病気全般の診断と治療に応用がきくというところです。

温病の範疇には肺炎や原因不明の発熱、アトピーや発疹等の皮膚疾患、子供の手足口病、りんご病、風疹や、重いものでは白血病等の様々な病気が入ります。

これらの病気は東洋医学的にいうと、熱邪が大きく関わる病気なので、いかに熱邪を体外に排泄するか、散らすかが重要になってきます。

その際に、温病学の理論があると、東洋医学的に病気を把握して治療することができるようになるのですね。

そして実は、現代人の病気には東洋医学でいう熱邪が中心となっておこっているものが非常に多いものなのです。

以前、40代の男性で、夏になると必ず原因不明の発熱をおこす方がおられましたが、温病学の理論で「陽明気分証(ようめいきぶんしょう)」という診断ができ、熱邪を体内から散らして抜く治療をすることで改善していきました。

このような熱邪が原因でおこる病気を未然に防ぐためには、普段から熱邪を抜いておく事が必要だし、熱がこもらない養生をすることも必要になります。

また、アトピーのような皮膚に痒みをおこす病気にも温病の理論を応用します。アトピーに関しては、何回かプチ東洋医学講座で取り上げたことがありますが、やはり熱邪という毒素が大きく関与している病気なのです。

そして、同じ熱邪でも浅い深いの違いがあります。熱邪が浅い段階にあればまだ治しやすい状態ですが、深い段階になってくると同じ熱邪でも治しにくくなってきます。熱邪にも重症度分類とでもいうような、浅かったり、深かったりの区別があるのですね。

熱の浅い深いは、大きく4段階に分かれていて、浅い順から衛分(えぶん)、気分(きぶん)、営分(えいぶん)、血分(けつぶん)という段階があります。

そして、熱がどの深さにあるかによって出てくる症状や重症度に違いがあります。また、治療のし方にも違いがでてきます。

衛分、気分はまだ浅い段階です。営分、血分になってくると熱邪が深く人体に侵襲している段階になってきます。

アトピーの場合、熱邪が浅いか深いかの簡単な鑑別点としては、痒みが強くなる時間帯が夜間である場合です。熱邪が中心となっておこる病気が夜間帯に症状が悪化する場合は熱邪が深い段階に影響している可能性がでてきます。

また、アトピーではあまりありませんが、熱邪が深くなりすぎると、打ち身のようなアザ、斑疹がでてきたり、皮下出血や血便、血尿等の出血症状もみられるようになってくるので、病気としては重い症状をだしはじめるのです。

浅い段階の熱邪は、鍼を介して直接排出(放熱)したり、あるいは発汗を促したり、大小便を通じさせる処置をすることで熱邪の排出を行ないます。

一方、深い熱邪は深い段階でそのまま散らしたり、排出したりすることはなかなかできません。ゆえに、一旦浅い段階に持ち上げてくるという処置をしなければなりません。やはり浅い段階にある熱邪よりは手間がかかるのですね。

ちなみに、深い熱邪が浅い段階に浮いてきた時に、急に症状がひどくなって悪化したようにみえることがありますが、それは温病学において「透疹(とうしん)」と言われる現象です。

わかりやすい例をだすと、はしかや風疹が治る時に一気に発疹がでてくる現象がちょうどそれにあたります。発疹を出し切れば楽になるのですね。

深い熱邪を気分という浅い段階にまで浮かせてくる処置を「透熱(とうねつ)」というのですが、さらに浅い部分に浮いて発疹がでてくるのが透疹なのです。

一見、これは治療が悪くて症状を悪化させたように見えるのですが、実は病が根本から治る過程において必要なことなのですね。

こういう処置をすることを、東洋医学では「病を浮かす」とか「熱を浮かす」という表現を使ったりします。

このように、東洋医学では熱邪由来の病気に対しては、温病学の理論を応用して対応していくものなのですね。

現代人は、高カロリーの飲食物の摂取過多や、運動による発汗の不足、便秘、精神的ストレス、葛藤による気の停滞等から、常に体内に余分な熱を過剰生産させていることが多く、程度の差はあっても大概の人は熱邪をこもらせています。

そして東洋医学的にみると、その熱邪がアトピーのような皮膚の炎症だけではなく、他のアレルギー疾患や炎症をおこす病気の元になっていることも多いのです。

以前、SARZ(重症急性呼吸器症候群)という急性の伝染病が大流行した時に、中国の広州中医薬学大学の教授が温病学理論を使った処方でSARZ撲滅に貢献し、東洋医学の有効性を証明されて一躍有名になりました。

日本でも、このように温病学が脚光を浴びてもっと知名度が上がれば、伝染病だけでなく様々な病気の改善に東洋医学がより貢献していけるのではないかと思います。

 

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