第二回 『実践!富山弁講座』 ~「な~ん」編~金子ブログ
先週、北陸地方の方には待望の北陸新幹線が開通し、首都圏から北陸が短時間で行き来できるようになりました。そこで今回は息抜きも兼ねて、これから富山を訪れる方々のために、第二回『実践!富山弁講座』を開催したいと思います。
今回は、富山弁の中でも日常的に極めて使用頻度の高い「な~ん」の解説です。
富山の友人達が、都会に出た際に、この「な~ん」をつい使ってしまって恥ずかしい思いをした…という体験談は枚挙に暇がありません。
富山県民が何かのはずみで都会に出ると、これはほんとについ使ってしまうのです。中には「な~ん」が方言であることに気がつかなかったという例もあるくらいです。
それでは、富山弁の「な~ん」とはいったいどういう意味なのでしょうか。
まずは実際の使用例から、
コンビニの店員「おにぎり温めますか?」
富山の人「な~ん、いいちゃ。」
このままではわかりにくいですから、日本語に…いや、標準語に訳してみましょう。
「いえ、結構です。」
発音のポイントは「な」と「ん」の間を「ー」ではなく、「~」で伸ばすことです。
文章では説明しづらいですが、非常に田舎っぽいイントネーションで、少し投げやりな感じで発音し、その間の抜けた響きは他に類を見ないとも言われます。
特に「な~ん」と組み合わせて使用した「いいちゃ」のあたりは、三十代後半から四十代の方は、アニメ「うる星やつら」のラムちゃんを想像されたかもしれませんが、そんなかわいい感じの発音では決してありません。
それはともかくとして、つまり「な~ん」というのは、日本語…いや標準語では「いいえ」という意味なのですね。
基本的な使用方法としては、何かを「いいえ」と否定したり、断ったりする時に使っていただければ結構です。より上級を目指したい方は、何かを断る時には「な~ん」のあとに「結構です」という意味の「いいちゃ」を組み合わせて使用してください。うまくいけば、その場面で富山県民になりすますことも可能になります。
富山県民に限らず、日本全国で誰しも一日のうちに「いいえ」を意味する言葉を発する機会はいくらでもあると思われます。日常であまりに使用頻度が多いがゆえに、都会に出た富山県民は、この方言をほぼ標準語の感覚でつい使ってしまうのだと思われます。
先ほどの使用例のように、都会に観光に来た富山県民がコンビニで「おにぎり温めますか?」という店員さんの質問に、
「な~ん、いいちゃ。」とつい答えてしまったりするのです。(実話)
もし都会でこのような言語を使う人がいたら、その人は間違いなく富山県民です。なれない都会で緊張しているはずです。怪訝な顔をせずに温かく見守ってあげてください。
また、富山に行かれた際には、是非「な~ん」を使用して、富山県民とのコミュニケーションをはかってみてくださいね。