プチ東洋医学講座 ~デトックスの鍼(熱邪編):後編~金子ブログ
では次に、その毒素をどのようにデトックス、排出していくのかということですね。
通常であれば、発汗、大小便によって熱邪が体外に排出されています。女性の場合は生理出血も含まれます。
ところが、この正常な排出ルートから排出しきれないくらいに熱邪が体にこもってくると、やはり病気の原因になります。
そこで、鍼の出番になるのですが、清熱法(せいねつほう)という熱邪を排出させる方法で、鍼を介して体内の熱邪を直接排出(放熱)したり、場合によっては発汗を促したり、より大小便を通じさせる処置をすることで、体内にこもっている熱邪の排出を行ないます。
前回、熱邪にも浅い段階と深い段階の区別があるといいましたが、浅い段階であれば、以上のような処置で対応できますが、深い段階の熱邪に関してはまた対応のしかたが違ってきます。
もし熱邪が深い段階にあると、そのままで熱を抜いたり散らしたりはなかなかできないのですね。そのため、一旦、浅い段階に引き上げる処置をする必要があります。
その際に、急に発疹がでてきたり、発熱等の症状が強くなったりする場合があります。
しかしそれは、東洋医学で「透疹(とうしん)」あるいは「透熱(とうねつ)」と言われる現象で、一見すると症状が悪化したように見えますが、病気が根本から治る過程において必要なことなのですね。
こういう処置に対して東洋医学では「病を浮かす」とか、「熱を浮かす」という表現を使います。
このように、東洋医学における鍼には、実は熱邪という毒素をデトックスするという目的があるのです。熱邪を排出することによって病気を改善し、あるいは未然に大病を防ぐということを行なっているのですね。
最後に東洋医学的にまとめてみると、デトックスで排出される毒素というのは、気や血が体にとって有害な状態に変化したものことで、東洋医学ではそれを邪気といいます。その邪気にも熱邪をはじめ、いろいろ種類があり、どんな種類の邪気がどこに影響するかで、どんな病気になるか違いが出てきます。そして、熱邪という邪気の場合は、鍼で清熱法等の処置をすることで邪気を排出していくということですね。
デトックスについて東洋医学の視点から考えてみましたが、実は東洋医学はしっかりとした学術体系を持ったデトックス医学だということも言えるかもしれませんね。