プチ東洋医学講座 「止める下痢と止めない下痢:前編」~病理は生理?~金子ブログ
みなさんは下痢になったことはありますでしょうか。
ずいぶん昔、一度だけひどい下痢になったことがあります。
その時は、頻繁におこる腹痛と水様便のおかげで、トイレから離れることのできない状態が一日中続いたように記憶しています。
自分のこととはいえ、今となってはそれがどういった原因でおこったものかもわからないのですが、下痢というものがいかにつらい症状であるかということは、身に染みてわかりました。
ひどい下痢の時は、実際にトイレから離れる事ができなくなります。
お腹が痛くて体力も徐々に消耗してきますし、思考も麻痺して今ここに自分が存在している理由さえわからなくなってきます。
下痢になった時には、そのような苦痛から抜け出すために、下痢そのものを一刻も早く止めてしまいたいというのが人情だと思います。
しかしながら、東洋医学的にいえば、下痢という症状が常に病的なものかというとそうともいいきれないところがあるのですね。
どういうことかというと、身体が不必要なものを排出するために、敢えて下痢という現象をおこしていることもあるということです。
つまり、局所的な現象としては病的だけど、全体としてみると正常な生理反応だということですね。
そうであるならば、下っているからといって、なんでもかんでもそれを止めてしまうと、身体にとっては逆によくない場合もあるわけです。
下痢という症状に対しては、その下痢が止めなければならないものなのか、止めてはいけないものなのか、敢えてさらに下さなければならないものなのかを見分けることが必要になってくるということです。
もし止めてはいけない下痢を止めてしまった場合、本来であれば排出すべき不要な毒素が体内にこもってしまうことになるのですね。
つづく