なるほど!THE.・プチ東洋医学講座 ~『未病を治すために』 その2 邪気の排出編:中編~金子ブログ
前回は気の流れが停滞しておこる気滞について説明しましたが、そのような気滞が長期化、慢性化してくると、気が余分な熱に転化してしまいます。気というのは温かいエネルギーなのですが、これが滞って鬱滞してしまうと、過剰な熱エネルギーになってしまうのです。これを東洋医学では「熱邪(ねつじゃ)」といいます。熱邪は、熱性の飲食物(脂っこいもの、甘いもの、味の濃いもの、お酒等々)を過剰摂取することでも生産してしまいます。
この熱邪という毒素も、現代人のあらゆる病気に関わっています。例えば、アトピー等の皮膚の炎症や偏頭痛も東洋医学的に言えば、この熱邪が関与していることが多いのです。また、胃腸の潰瘍や肺炎等の内臓系統の病気にも熱邪が関わります。
そして、熱とは反対に水の毒素もあります。よく体の3分の2は水分だといわれますね。当然のことながら、この水分は常に循環して代謝されていなければいけません。ところが循環や代謝が悪くなることも程度の差はあれ、よくおこってくることです。そうすると、水分が淀んで停滞してくるのですが、そのような水分が淀んで体内に溜滞したものを「湿痰(しったん)」といいます。体内にこもった余分な湿気、水気という毒素です。
この湿痰は気管支喘息等の呼吸器の病気や食欲不振、悪心嘔吐、下痢、便秘等の消化器系統の病気、体のむくみ、膝の関節の腫れ痛み、手足のしびれ等の整形外科的な病気までいろいろな病気の原因になります。
さらに、気と水分以外に、体には血液が流れていますが、この血の流れも悪くなることがあります。血液の流れが悪くなって滞ったものを「瘀血(おけつ)」といいます。これは気滞や熱邪とは違い、血の塊として物質化している毒素なので、これが体内にこもってくると、体の中に腫瘍等の出来物、腫れ物を作ってしまいます。体内の出来物、腫れ物の原材料になってくる毒素ですね。女性であれば、よくみられるものでは生理痛の原因になったりしますし、子宮内膜症や子宮筋腫であるとか子宮癌、乳癌等もこの瘀血の関与が大きいのです。
以上、東洋医学で代表的な気滞、熱邪、湿痰、瘀血という4種類の毒素について解説してみましたが、これらの毒素の総称を東洋医学では「邪気」というのですね。
もちろん、西洋医学には邪気という概念はありませんので、東洋医学における邪気を可視化することも数値化することもできませんが、このような邪気というものが実際にあるのです。
つづく