プチ東洋医学講座 ~体質・地域・気候と病気のほんとうの関係:後編 下の巻~金子ブログ
これまで解説してきたように、東洋医学における病気の発病要因には、自分が作ってきた体の内部環境や住んでいる地域の特性、四季の移ろいや気候の変化が大きく関与しているということがなんとなくでもおわかりいただけたのではないかと思います。
例え細菌やウイルス等の病原菌が関与する病気であっても、それは病気の種であって、その種を発芽させるための条件は、体の内部環境・地域の特性・気候や四季の移ろいによって左右されるということでしたね。
東洋思想には、人と自然をまとめてひとつの整体とみなす考え方があります。人間は大自然の中の小自然であり、常に大自然の影響を受けている存在なのだということですね。
そのため東洋医学には、病気を治療する際には病気や患部を診るだけではなく、体質・地域・気候を考慮に入れて体を整えていくという考え方があるのです。
これを「因人因地因時制宣(人により地により時により宜しく制す)」といいます。
これは人や土地や時候に合わせて適切に対応するという意味になります。
体質や地域や気候に対応して治療をしていくことですが、より多方面の要素を考慮することによって、病気や患部のことだけではなく、どうしてその人が病気で苦しまなければならなかったのかということについての理解を少しでも深める考え方でもあるかと思います。
そのような東洋医学のマクロ的な捉え方が、病気の解消に有効な場合が実際に多々あるということも事実です。
ひとつの体系づけられた医学として、西洋医学と同様に、病気を治す際のもう一つの選択肢として東洋医学というものを認識していただければ幸いです。