なるほど!THE.・プチ東洋医学講座 ~『未病を治すために』 その3 先天後天の気を守る編:後編 上の巻~金子ブログ
次に後天の気についてですが、これは後天的に飲食物の栄養から得られるエネルギーです。外から摂り入れた飲食物から血肉が作られるわけですが、気もまた作られるのです。その気を後天の気といいますが、後天の気は生命を維持するために肉体や体を栄養する血を作って、要らないものを外に排出する、全身の物質代謝を働かせるためのエネルギーになります。つまり、内臓諸器官を働かせる力そのものということですね。
東洋医学では、その物質代謝の働きの中枢を「胃の腑」といい、胃の腑を働かせるための後天の気を、特に「胃の気」といって重要視しています。
これが弱れば、物質代謝の働きそのものが低下してきて、生命維持に支障がでてきます。つまり、各内臓諸器官の働きが弱くなってくるということですね。最終的には、飲食物が食べられなくなります。そういう意味では、後天の気は先天の気よりも生死に関わってくるので大切なものになります。
ゆえに、未病を治すためには、まずは後天の気が充分にあるのかどうか、そしてそれがうまく巡っているのかどうかの診断が非常に重要になってくるのです。
病気の原因に後天の気の弱りが関与している場合は、物質代謝の中枢である胃の腑の働きを高める治療を行ないます。それによって、飲食物の摂取を促して、物質代謝の働きを促進していくのです。この場合も、弱りの程度によっては鍼灸治療に漢方薬を併用していくことがあります。
もし病気でなくても、後天の気の弱りがあるような場合、やはり胃の腑の働きを高める治療をしておくことが内臓諸器官の働きを促進することにつながり、結果として未病を治すことにつながるのですね。
つづく