なるほど!THE.・プチ東洋医学講座 ~『未病を治すために』 その3 先天後天の気を守る編:中編~金子ブログ
昔から、「これを食べれば精がつく」という表現がしばしば使われたりしますが、この場合の「精」というのは実は先天の気を表します。精力という言葉のほうが、なじみがあるかもしれませんね。
その精力、つまり先天の気というのは、人間の成長発育や生殖能力にかかわるエネルギーとされています。これが衰えてくると、骨格、歯、聴力、思考力、髪の毛、足腰、泌尿器系、生殖能力等の機能が低下してくるのですね。
ちなみに、黄帝内経(こうていだいけい)という東洋医学の医学書では、この先天の気は、女性であれば七の倍数、男性は八の倍数の年齢で徐々に盛んになって衰えるものだと記載されています。
このように、先天の気は、老化で衰えてくるところ全般に関わるエネルギーになるのですね。
しかし実際は、先天の気が著しく弱ると、老化現象がおこるだけではなく、下半身を中心に気の不足をおこして、体に気の偏りをおこしやすい状態を作ってしまうことと、邪気を排泄する力が弱くなってくる状態が加わってきます。
その結果、病気をおこしやすい体のベースを作ることになったり、今ある病気を助長してしまう原因になったりします。
治療をしていく際にも、先天の気がしっかりしている人のほうが、病気の治療はやりやすいですし、治りやすいと感じることがしばしばあります。
先天の気は、年齢とともに生理的に弱ってくるエネルギーではありますが、未病を治すためには、この衰え方をなだらかにしておくことが大切です。
先天の気の衰え方には個人差が大きいので、必要に応じて鍼灸の治療によって先天の気を補ったり、弱り方が強い場合は漢方薬を併用して補うこともあるのですね。
つづく