● 「東洋医学をざっくりと…:vol.3」~気の働きと運動~金子ブログ
前回まで、「気」の定義や「気」の運動原理を表す陰陽論が、量子力学でわかってきたことに非常に似通っているというお話をさせていただきました。
今回は、少し具体的に「気」の働きと運動について、東洋医学の視点から解説してみます。
「気」の働きには、体内の血や水分を推し進める働きや、身体を温める働き、新陳代謝を促す働き、外気の変化から身体を守るバリアのような働き等があるのです。
また、実際の「気」の流れ方には運動形式というものがあります。
実は「気」は身体の上の方に昇ったり、下の方に降りたり、身体の外に出たり、中に入ったりしているのですね。
このような「気」の運動を東洋医学では『昇・降・出・入』の四文字で表します。
日中であれば「気」は上へ昇ることが多く、体の外を巡ります。逆に夜間は下に引き降りて体内を多く巡ります。また、緊張状態にある時には「気」は上に昇ることが多く、リラックスしている時には下に降りていることが多くなります。
このような「昇降出入」のバランスがとれていれば、「気」は全身を淀みなく巡りながら身体を温め、気血や体液を生成し、尚且つ不要な老廃物や有害な毒素をきっちり排泄させることができるのですね。
逆に、昇るべき働きが失調して「気」が昇らない状態はよくないし、降りるべき時に降りない状態も正常ではありません。また、身体の内側と外側に出入りする働きのバランスが崩れてもいけないわけです。
このように、「気」の流れが病んでしまい身体に異常をおこしている状態を、古来より東洋では『病気』と表記してきたのですね。
病気を治して健康状態を維持するためには、「気」の正常な運行バランスを取り戻すことで、血や水分を推し進めたり、身体を温めたり、新陳代謝を促したりする働きを正常化させていけばいいということです。
ただし、単に全体の「昇降出入」だけでは、あまりに大雑把すぎて身体のすべての働きを細かく説明する事はできません。つまり、病気に分析を加えていくこともできないのです。
例えば、数ある人の性格を四種類の血液型だけで分析しきることができないのと同じように、四百四病といわれるくらい数多くある病気に対して、単に全体の「昇降出入」だけでは病気のメカニズムを説明をしていくことができないのですね。
ゆえに東洋医学では、気の働きを『五臓六腑』という概念でさらに細かく分けて捉えていくのです。
つづく